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最北の地でしか見られない、北海道の景勝
函館山展望台から望む、圧倒的夜景
「函館山展望台」は是非夜になって訪れてほしい名所です。一日中北海道の名所を巡ってくたくたになった体に鞭打って長い階段を登り、展望台までたどり着くのは確かに酷な、億劫なことではあります。遠方から北海道を訪れた人ともなれば、移動の疲れも大きいはずです。北海道到着の当日の夜に訪れることはさすがに難しいでしょう。また体力的な理由というよりは最終日、北海道観光の締めくくりとしてその景勝を目に焼き付けてほしい、という意味で、この「函館山展望台」を訪れるのは最終日か、交通機関のスケジュール上難しいようであれば前日の夜をおすすめします。ここは北海道内でも屈指の夜景スポットです。函館市とその周辺、独特の形状を有する海岸線と、夜の海をゆく幻想的な明かりを灯した漁船やフェリーが見られるでしょう。ただし展望台は風も強く、夏場でも肌寒さを感じるはずです。防寒対策として、せめて一着のコートは持参するようにしましょう。
「函館山展望台」は三階建ての大規模な複合施設となっており、自然地形ではありません。ただの地のままの函館山山頂ではないのです。展望台にはロープウェイを利用して至ることができます。ふもとのロープウェイ乗り場まではJR函館駅から出ている登山バスが利用しやすいでしょう。自家用車で訪れる場合には雪が積もる時期、夜間の交通が規制されますので事前に交通情報をご確認ください。展望台の一階にはロープウェイの発着場、二階がレストラン、三階には喫茶店が入っています。
日本一透明度の高い湖、摩周湖
「摩周湖(ましゅうこ)」は北海道の東部、川上郡弟子屈町(かわかみぐん、てしかがちょう)にある驚異的な透明度を誇る湖です。その透明度たるや日本国内では圧倒的な一位であるばかりか、全世界においてもバイカル湖についで序列二位の座に着いています。透明度の測定結果は「m」で表されますが、これは肉眼で確認することのできる限界の深度を意味するものです。計測方法も人間の肉眼によって行われるために、その測定結果には多少の誤差が生じること、また、透明度が高いからといって水質汚染の状態までは判断できないなどの欠点はありますが、その分直観的であり、わかりやすい指標として世界的に採用されています。この透明度測定によると、摩周湖の透明度は実に40メートルという群を抜いた値を記録しています。蒸留水の透明度がわずか5メートルであるといえば、この値がどれほど異例であるかを理解しやすいのではないでしょうか。摩周湖の水は、純粋な「水」の何倍も澄んでいるのです。
阿寒(あかん)国立公園内にあるこの摩周湖はおよそ7000年前の火山噴火によって生成された窪地に水が溜まったことにより形成されたカルデラ湖です。アイヌ語では「山の神の湖」という意味で「キンタン・カムイ・トー」と呼ばれていますが、摩周湖の名前の由来となっているのもアイヌ語の単語からではないかという説が濃厚です。摩周湖は流入する河川も流出する河川もない完全な閉鎖湖であるため、周囲の土壌からろ過された雨水のみで維持されています。そのため有機物の混入が極めて少なく、またこの地域が年間を通して寒冷であることも有機物の増殖を防ぐ要因となっています。このことが摩周湖の類い稀なる透明度の原因ですが、有機物、すなわち生物にとっての栄養が著しく少ないことで、この湖には魚類をはじめ、ほとんど生物が生息していません。「水清ければ魚棲まず」のことわざを忠実に再現している好例でしょう。
青い池――という名の池。
北海道中央部、美瑛町(びえいちょう)にあるこの奇妙な池――この世のものとは思えない景観を呈しているこの青い池の名は、「青い池」とされています。厳密に言えば、この池には正式名称というものがなく、さらに言えば、これは地質学的観点から池とは認められない水たまりなのです。ゆえに見たままの呼称「青い池」、あるいは近隣にある白金(しろがね)温泉から名を借りて「白金の青い池」、または地名から「美瑛の青い池」という名前で一般に知られています。この「青い池」が私たちに見せる光景はどこか空恐ろしくもある一方で、アメリカのアップル社はこの「青い池」を撮った写真を加工した画像を「世界一美しい画像」と評価したこともあります。たしかにこの「青い池」は非常に美しい景観を見せてくれますが、反面、空恐ろしいとはどういう意味でしょうか。――この「青い池」から生えている木々は例外なく枯れてやせ細り、葉一枚つけることはありません。
「青い池」は通常の水ではありえない不透明な青色または見る人によっては緑色とも称される色合いを呈する池であり、その不透明な様は、水彩絵の具で絵を描き始めた際、最初の一色を洗ったあとの水をためたバケツを連想させます。その色の正体は地下から湧き上がるアルミニウムを含んだ湧水と河川の水の化学的反応によるものです。この液体が不透明に見える原因となる反応ですが、私たちの身近なところでは、牛乳なども同様の反応により不透明に見えているといいます。「青い池」は美瑛川に建設された堰堤(えんてい)――小型のダムにより溢れた水が脇に逸れ、溜まったことで生まれた池です。その際にその場所に合った木々は水没し、すべて枯れてしまいました。今も「青い池」の水面からは、まるで何か宗教的な構造物であるかのように、無数の朽ち木がまっすぐに顔をのぞかせています。
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