『保養地』栃木の秘湯を求めて

『保養地』栃木の秘湯を求めて

夏場に楽しむ高原の湯

「日光湯元温泉(にっこうゆもとおんせん)」は奥日光の湯ノ湖、そのほとりに広がる温泉街です。「奥日光」という言葉はこの地で頻繁に用いられる言葉ですが、奥日光という地名が存在するわけではなく、古くから景勝地として親しまれてきた日光連山一帯の観光地をまとめて呼ぶ名称です。日光市の最も奥まった秘境、というような意味合いでそう呼ばれるのでしょう。奥日光こそが日光の最たる魅力であるとする声も高いものの、その険しい地形や寒さからたどり着くのが困難であり、かつてはそう気軽に観光できる場所ではなかったはずです。今でこそ交通が発達し国内外からの観光客が毎年大勢訪れるこの奥日光も、鉄道も車もなかった時代には本当の秘境だったに違いありません。そんな秘境「奥日光」に「日光湯元温泉」はあります。

788年に発見されてから長いあいだ、この温泉が温泉街として栄える気配はありませんでした。それというのも、標高1,000mを超えるこの地は夏場でも涼しすぎる上、冬場は厳しい寒さと雪に閉ざされた極寒の地となります。栃木県の冬は特に寒冷で乾いた風が吹くことを特徴としており、標高の高い山奥ではなおさらその傾向は目立ったものとなりました。日光湯元温泉は温泉地らしい硫黄の匂いが立ち込め、その泉質は上等で、乳白色の、とても肌触りのよい温泉です。しかしながらその不便な立地ゆえ、湯治場として発展するには長い時間がかかったようです。今では15の温泉宿が軒を連ねる奥日光の代表的な温泉地となった日光湯元温泉は、けれど依然昔ながらの静かな佇まいを保っています。観光地として開発された土地にありがちな賑やかさ、多くの売店や娯楽施設は存在しません。涼しい高原のひっそりとした空気の中で温泉を楽しみたい方には絶好のスポットです。雪深い冬場も情緒がありますが、夏に訪れても十分に楽しめる避暑地です。

那須の活火山が生んだ温泉郷

「那須温泉郷(なすおんせんきょう)」は那須郡那須町に点在している温泉の総称で、古くから皇室が静養に利用してきた由緒正しい湯治場の側面を持ちます。この地方は温泉信仰が非常に厚く、随所に温泉神社なるものが建てられています。温泉信仰とはその名のとおり、湧き出す温泉の効能に神秘的な力を信じ、その温泉が神々の力に由来するといった伝承を重んじることを言います。火山帯に属し世界的にも稀なほどの温泉大国日本では、各地でこのような温泉信仰が今も根深く残っています。那須の温泉信仰はその中でも勢力の大きな部類に入るでしょう。そして火のないところに煙が立たないように、強い信仰の影には、実際の温泉の優れた効能が隠れています。多くの傷や病に効果を表した温泉ほど信仰も厚く、長く語り継がれやすいのはたしかです。

那須ICから車で30分ほどの場所にあるこの温泉の魅力の一つに、やはり湯治場として名を馳せた源泉の優れた効能にあります。泉質は硫化水素泉を基本に複数種類が混在しており、いずれも皮膚病や婦人病、切り傷や高血圧症に効果があるとされています。傷への効果については那須温泉郷に伝わる有名な伝承が声高に語っています。鹿が温泉に浸かって矢傷を癒していたところを見たという狩人の話がもとになっており、その鹿が浸かっていたという温泉が今の「鹿の湯」です。那須温泉郷のシンボルと言えるほど有名な温泉であり、伝承に出てくる鹿が奉納されたという「那須温泉神社」も残っています。鹿の湯は温度に差をつけた六種類が用意されており、いずれも熱く、短時間浸かっては一度湯船から上がり、しばらく体を冷まし、また浸かるということを繰り返す湯治法が古くから行われてきました。熱い湯が好みの方には、きっと満足のいく体験ができることでしょう。

個性的な秘湯の数々を踏破しよう!

大丸(おおまる)温泉は面白い趣向の温泉です。多種多様な温泉を有する那須の地では「那須七湯」という言葉がよく用いられます。これは那須の多くの温泉の中でも主要なものを総称する際に使われる呼称ですが、この那須七湯に数えられる「大丸温泉」は川の流れをせき止めて作られたことに端を発します。川の水そのものが温泉であり、乳白色の香り高い温泉が湯気をあげてごうごうと流れる川の景色は壮観です。温泉ファンにはたまらない、ここでしか味わうことのできない大丸温泉は、源泉かけ流しの究極といっていいでしょう。川そのものが温泉なのですから、次から次へと瞬きする間もなく新しい湯に入れ替わっていきます。これほどの贅沢はそうそう味わえるものではありません。もちろん温泉の浴槽は選択する温泉宿によって異なり、大丸温泉と名の付いた温泉宿すべてに温泉の川が通っているわけではありません。いくつか見繕って、事前に好みの浴槽を調べておくとよいでしょう。

「弁天温泉」もまた「那須七湯」に数えられる温泉のひとつです。無色透明の単純泉で、苦土川の上流、標高1,200メートルの場所に湧いています。この温泉の名前の由来は弁財天のお告げにより発見に至ったことから来ているといいます。この弁天温泉は各地の個性的な那須温泉を巡って負った湯ただれを癒す「仕上げの湯」と呼ばれています。とても肌に優しく、最後にこの弁天温泉に浸かることで体の調子を整えることができる、湯治の仕上げに利用される温泉です。湯ただれとは、肌の表面と温泉のPh値が大きく異なるか、ph値の差異が僅かでも長湯をすることによって起きる肌の炎症のことです。酸性の強い温泉、あるいはアルカリ性の強い温泉に長時間入浴した際に起こりやすく、やや赤く腫れたようになる、かゆみが起こるなどの症状があります。多くは放置していれば自然に治癒しますが、弁天温泉の威力を試してみることをおすすめします。

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