3つのエリアに分かれた山口の温泉宿をさぐる（山口県） | 風俗のお仕事コラム

「下関（しものせき）」といえば山口県の中でも中核的な都市部であり、本州最西端の重要地域です。山口県観光を考える上では外すことのできないこの下関ですが、都会的なイメージからは意外にも温泉地としての性格を持っています。九州に最も近いこのエリアは、桜島に代表される火山帯として日本屈指の温泉地九州の性質を少なからず帯びているのかもしれません。都市部からそう離れることなく良質な温泉と温泉宿を堪能できる好立地は観光旅行に訪れる人々にとって第一の選択肢に挙がるといってもいいでしょう。

下関市にその名を馳せる「川棚温泉（かわたなおんせん）」は古くから歴史上の偉人たちに愛されてきた名湯です。無色透明のスタンダードな泉質で幅広い効能を有しながらも、ナトリウム質のぬめりは美肌効果もあり、女性に高い人気を博してきました。正確には「弱アルカリ性ナトリウムイオン」という泉質なのですが、この「弱アルカリ性」という性質は肌に優しく、余計な刺激を与えることがありません。また、川棚温泉は「ラジウム泉」という分類を受ける温泉です。ラジウム泉とはラドンという物質を多く含む泉質を持った温泉を指す言葉ですが、このラドンには肌の角質を軟化し、洗い流す作用があります。加えて抗酸化能力が秘められており、老化の予防にも効果を持つという優れものなのです。

かつて中国地方最大の勢力を誇り、江戸時代を通して名を馳せた「毛利氏（もうりし）」が愛し、専用の御殿湯も作られたという名湯「川棚温泉」は、海水浴場が近い沿岸部に位置することもあり、夏の利用も多い温泉地です。温泉は冬に限るわけではありません。一年を通して賑わう「川棚温泉」に、是非いらっしゃいませ。

北部の長門地方は特に湯治場として有名な温泉地帯で、中でも「長門湯本温泉（ながとゆもとおんせん）」はたしかな実績とともに長く愛されてきた名湯です。川沿いに広がる大規模な温泉街の様子は風情があり、その情景を目当てに訪れる観光客も少なくありません。川沿いの遊歩道や公園には足湯もあり、その地域を散策するだけで温泉街の雰囲気を満喫できることでしょう。泉質は「アルカリ性単純泉」となっており、無色透明。神経痛や筋肉痛、関節痛、疲労回復に効果があるとされている、湯治場にスタンダードな温泉です。

「長門湯本温泉」は現地ではただ湯元温泉と呼ばれており、そちらが正式名称です。長門市の人々が湯元温泉のことを「長門湯本温泉」と呼ぶことはありません。ただし湯元温泉は全国各地にあるため、混同しないようにと通称が用いられています。この長門の湯元温泉は山口県で最も古い温泉と伝えられており、そのむかし「大寧寺（たいねいじ）」の僧が座禅の中で「住吉大明神（すみよしだいみょうじん）」よりお告げを受けて発見されたという伝承が残っています。付近には吉大明神を祀る「住吉神社」もあり、また大寧寺も同じ長門市にありますので、湯元温泉をご利用の際には訪ねてみることをおすすめします。浴場は「礼湯（れいとう）」と「恩湯（おんとう）」に分かれており、かつては位の高い武士や僧侶などが礼湯を利用し、一般庶民は恩湯を利用することと決まっていました。今はどなたでもどちらも入浴することができます。

山口市には独特のキャラクターが伴う有名な温泉があります。訪れる人を巨大なキツネの像が迎えてくれる「湯田温泉（ゆだおんせん）」の地には、「白狐伝説（びゃっこでんせつ）」なるものが息づいています。

湯田温泉は山口市の中心市街地に湧く温泉であり、観光に際して非常に便利が良く、気軽に利用することのできる温泉です。山陽路唯一の温泉でもあり、山口の観光拠点として優れた立地で、全国の人々が山口を訪れるたびに立ち寄っていきます。しかし立ち寄った人々は温泉に入る前に一つの驚きを体験することになるでしょう。湯田温泉の地に伝わる白狐伝説にちなんで、その地域ではマスコットキャラクターの白狐「ゆうた」が様々な形で見られます。中でも人目を引くのが全長8メートルに及ぶ巨体をそびえさせる「ゆうた」の像です。細目をにこりとさせて首をかしげるその表情は愛らしいのですが、これほど大きく聳え立たれえると、その笑みにもつい凄みを感じてしまいます。

無料で利用できる多くの足湯があることでも有名な湯田温泉は、弱アルカリ性の泉質で美肌効果が期待できるとして、女性にも高い人気があります。起源はおよそ600年前にさかのぼり、傷ついた白狐が傷を癒すために浸かった池が源泉となったと伝わっています。池に白狐が浸かる様子を見つけた寺の和尚がその池を掘ると、こんこんと温泉が湧き出てきたというのです。以来この温泉は白狐の湯として傷を癒す効果があると、地元の人々に湯治場として利用されてきました。長州藩藩主も頻繁に利用したといいます。