厳格な趣を備える福井の神社仏閣群（福井県） | 風俗のお仕事コラム

永平寺町にある「永平寺（えいへいじ）」は「曹洞宗（そうとうしゅう）」の修行寺として有名で、一般的に観光地となっている寺院とは大きく異なる雰囲気を持った場所です。そもそも曹洞宗という単語を聞いてもわからない方も多いかと思います。曹洞宗というのは禅宗の最大派閥の一角です。そして禅宗とは大まかに、肉体的に厳しい修行に身を置いて悟りを開こうとする人々を指します。

永平寺は気軽に周囲を散策しながら観光することはできず、寺院の姿を見るためには入場料を支払い、観光客用に設けられた通用門から立ち入ります。立ち入りの際にはいくつかの注意事項の説明がありますが、その内容を聞けば否が応にもそこが極めて厳格な修行の場であることがうかがえます。修行僧の修行する姿は秘められていて、観光することはできません。

永平寺の境内を歩く際には大きな物音を立てないことをまず言い含められます。時計のない寺の中で生活する修行僧たちは、鐘の音や木を打つ音を基準に行動していますので、修行の邪魔をしない最低限の配慮です。また、酒気帯びのお客さんは入場できません。

なかなか足を踏み入れるまでにハードルのある永平寺ではありますが、その内実は非常に見ごたえのあるものです。観光地的側面で売り出されていない本場の修行寺独特の趣があり、またその景観も非常に優れています。当然のように国の重要文化財であり、本尊として釈迦如来、弥勒仏、阿弥陀如来が据えられています。苔むした岩、木の幹、階段は年代を感じさせ、歩いているだけでこちらまでピンと背筋が伸びる思いにさせられる永平寺の、独特の世界観に触れてみてはいかがでしょうか。

「平泉寺白山神社（へいせんじはくさんじんじゃ）」は勝山市平泉寺町平泉寺にひっそりと佇む神社です。霊峰白山の登拝口に構える白山信仰の拠点であり、その成り立ちには多くの伝承がついて回ります。かつて北陸有数の勢力を誇り、広大な境内には数十の社が、そして数千の坊院（神社に勤める僧坊の住居）が立ち並んでいたといいます。境内には、まるで高級な絨毯を敷き詰めたように隙間なくきめ細かく苔が生い茂っています。この景観こそ平泉寺の特徴と言えるでしょう。長くまっすぐな参道も見どころです。まっすぐに高く屹立する杉並木に挟まれて石畳の参道を歩いていると、徐々に神域に近づいているのだという実感が湧き、身が引き締まってくる思いがいたします。この参道は「日本の道百選」に選ばれていることからもわかるとおり、十分に足を運ぶ価値のある名所です。

福井の地はかつて「越前一向一揆」の中心舞台であったという過去を持っています。それゆえこの地の神社仏閣は多かれ少なかれ波乱万丈な経歴を有しています。平泉寺もその一つで、一度一揆の攻撃を受けて全焼しています。それを契機に絶大な勢力を誇っていた平泉寺の境内は十分の一以下にまで縮小してしまい、今の形に落ち着きました。かつて栄華を誇った平泉寺の多くの建造物はすでに失われています。白山神社として生き残った今の境内は貴重な遺産であり、「白山国立公園」として国の保護を受けています。映画「サクラサク」の舞台となったことで一躍注目を集めたのも記憶に新しい場所です。

「氣比神宮（けひじんぐう）」はJR敦賀（つるが）駅から徒歩で20分ほどの場所にあり、「神宮」と名につくとおり、広大な敷地面積を誇る敦賀市の代表的な神社です。「越前一の宮」とも言われ、「北陸道の総鎮守」とされる場所でもあります。中でも見どころは入り口で人々を迎える荘厳な大鳥居でしょうか。鮮やかな朱色が青空に映え、見上げる人の目に強く焼き付きます。この鳥居は「日本三大木造大鳥居」の一つにも数えられています。広島の厳島神社のそれも「日本三大木造大鳥居」の一角ですから、そちらを知る方には、この氣比神宮の大鳥居の規模、風格も十分に想像できるのではないでしょうか。

「日本武尊（やまとたけるのみこと）」など、日本神話に登場する名のある神々を全部で七柱祭神として祀る氣比神宮への参拝には、それだけ多くのご利益が期待できるといっていい。例として、衣食住、海上安全、農漁業、交通安全、無病息災、延命長寿、武運長久、安産、音楽舞踊、などなど、つまりはほとんどすべてのご利益を網羅しているといっても過言ではないため、広い境内から自分の願いに合った神様を選択して参ることができる。

また、氣比神宮はパワースポットとして古くから信仰を集めています。かつての氣比神宮は「伊奢沙別命（いざさわけのみこと）」一柱のみを祀る神社でしたが、その後六柱の神々がこの地に入る際、地下水が噴出したと言い伝えられています。その地下水は移り住んできた長命な神々の神徳が宿るとして大変重宝され、今では「長命水」として、飲むと延命長寿のご利益を授かることができるとされています。